今夜、君に月をあげる。







「私、すごく欲しいものとかはいつももらえないのに、そういうものばっか手に入るの。…ふふ、誰がくれたとかは企業秘密ね?」




普通に話す彼女が一瞬だけ瞳に寂しさを映した気がした。



…僕の思い違いかもしれないけれど、なんとなく。



こういう時に器用な声のかけ方が分からなくて頭を抱えたくなる。



「次のすずくんへの質問どうしよっかぁ…、あ、家族構成とか?聞きたい!」




そんなことを悶々と考えていると、沙月が明るい声を出して聞いてきた。




「父さんと母さん、それから姉が1人と、犬の“ミヅキ”。」



「えっ!ワンちゃん飼ってるの!?しかも名前ミヅキって!私と似てるねっ!」



「…ああ、確かにちょっと似てるかも。」




シーズーだけど天真爛漫で人懐っこい感じが、彼女にかなり似ている気がする。




まあミヅキの名付け親は姉ちゃんなんだけど。




「私はねー、一人っ子なんだよ!」



「さっきから思ってたけど、僕への質問の時に沙月まで答えたら意味なくない?」



「私が答えたくて言ってるんだからそれはいいんだよ〜」




そういうもの?



最終的に情報の量が僕と彼女は2倍くらい違うはずなんだけど。