「あるんだって〜っ!ほら、前に松坂くんと2人ですずくん話に行っちゃった時あったじゃない?その時に実夏ちゃんに聞いたの!」



「ああ…、あの松坂に連れ去られた時か。」



「そうそう!まあ結局、実夏ちゃんとは行けないけど…、すっごく美味しいらしいから行ってみたくてっ。」




この前のうどんには驚いたけれど、こういうところを見ると沙月も普通の女の子だなって実感する。



それにどちらかといったら甘党の僕も、スイーツという言葉に釣られていた。



その存在すらも知らなかったけど、男子だけじゃ入りづらいし。




「うん、いいよ。そこ行こう。」



「やったぁ!」



はしゃぐ沙月の案内に合わせて僕も歩き出す。



時折迷いながらも歩く道は楽しくて。




「沙月ってずっとこの街に住んでたの?」



「うん。あ、でも一回だけね、幼稚園の頃、県外の有名な病院の方に入院するために連れてかれたことがあるの。またすぐにここに戻ってきたんだけどね。」



「あ、だから電車の切符を2回だけ買ったことあるって言ってたの?」



「あー、そうそう!ふふっ、よく覚えてるね。そう、その時の往復分っ。」