本来なら制服を着て学校の教室にいる時間なのに、私服で青空の下にいるだなんて少しおかしい。
…人生初だよ、こんなこと。
少しだけ苦笑いをするけれど、授業なんて受けてる場合じゃなかったんだ。
「すずくーんっ!!お待たせっ!」
1ヶ月前に出会ったというのに、もうすっかり耳に馴染んだ声に振り向く。
透き通るくらい白い手を全力で振って駆けてくる彼女に、微笑んだ。
沙月って夜が1番似合うけど、青空の下でも映えるなあ。
「ふふっ、本当にいいの?すずくん、サボっちゃって。」
「うん、人生初サボり。でも、それを言うならサボりは沙月もでしょ?」
「私は例外だよ〜っ、こんな日に授業なんて受けてられないでしょ?」
「それは僕も一緒。」
僕の返しに、あははっと笑って沙月はショルダーバックを肩にかけ直す。
まだ朝の9時だけど、これで最後かもって考えると足りないくらい。
今日は堂々とサボると決めた。
今日くらいは、沙月と一緒にいたかったから。