星空を見た後、僕達はまた他愛ない会話をしながら電車で帰った。




アクセスに時間がかかる場所なうえに、帰るのも遅かったから最寄駅に着いた頃には日付は変わっていて。




だからなのかその日の学校ではあくびを連発しすぎて、松坂に「あれだな、ナマケモノに似てる。」と言われてしまった。




それでも毎日夜には屋上に行って、沙月に会う。




特に何をするわけでもなく、いつも通りの会話をしてたまに空を見上げて。




何気ない会話に、なんてことのない空間。




だけど僕達は、消えてしまいそうなほど儚い平凡を守るのに必死だった。




…どれだけ目を逸らしても、その日はやってくる。



苦しくて、足掻いて、もがいても、時間は流れる。



夢は、いつか醒めてしまうんだろう。




青い空を眺めながら、そんなことを痛感した。




9月30日、金曜日。泣きたくなるくらい鮮やかな晴れ。



今日は、…沙月と会える最後の日。