今夜、君に月をあげる。







「…なんで笑ってるの。」




「え、笑ってないよ。」



「嘘だよ、さっき笑ってた。」



「え〜、えへへっ。だってすずくんが少し幼くて可愛かったの。」



「…可愛い…??」




ニコニコと面白そうにする彼女の口から、解せない言葉が出てきて眉をひそめる。



可愛いなんて、名前に関して以外で女子に初めて言われた。



でも、なんだかもやっとしてしまう。




「…男に可愛いなんて言うの禁止。」



「えっ、どうして?褒め言葉だよっ、すずくん!」



「なんかー…、嬉しくないー…。」




なんでだろう、女っぽい顔と名前してるからなんか気になるのかな。



でも、別に松坂に言われても心底どっちでもいいからなぁ。



そうなると沙月にだけ?



「…なんでだろう、男として見られてなさそうで嫌なのかな?」



「…すずくんって天然で時々すごい胸キュン製造機になるからやだ。」



「え、なんで?」



いきなり思ってもないあだ名がつけられて驚く。




今度は僕が首をひねる番だったけれど、沙月は「すずくんはそのままでいいの。」と誤魔化されてしまう。




……一言言っておくけど、僕は天然ではない。