今夜、君に月をあげる。







おしゃれなお店じゃないけれど、こんな小さなことでも感動してくれる。



だからこそ、一緒にいて本当に楽しいんだろう。



割り箸をパリンッと音を立てて割ってから、きつねうどんを口にした。



ほんのりとした甘味が口の中に広がって、一気に香りが僕を襲う。




「美味しい…。」



「んーっ!美味しい!卵でまろやかになってすごく美味しいね!これ!」




僕がポツリと呟いたのと同時に沙月が歓声をあげた。



それに驚いて2人で顔を合わせるけど、次の瞬間には吹き出していた。




「あははっ、すずくんタイミング良すぎ〜っ!」



「いや、沙月こそさっきまで卵に感動してたのに食べるの早くない?」



「だって、熱いうちに食べないとせっかくのおうどんがもったいないでしょっ。」



「それもそうだけど〜…。」



僕の言葉を聞いてるのか聞いていないのか、ご機嫌に二口目に入る沙月に片眉を下げる。




ケラケラと笑いながら食べるうどんが甘くて美味しくて、ほんの少しだけ、…しょっぱかった。