いつもみたいにヘンテコな会話をしながら、ああと納得する。
確かに月見うどんには、“月”って入ってるな。
それで頼むなんて、少し沙月らしい。
小さく笑った僕にバカにされたと思ったのか、膨れる彼女にまた笑う。
…沙月らしいって思うのは、どっちかと言ったら褒め言葉なんだけどなー。
そんなことはつゆ知らずな彼女と食券を買いに向かう。
「すずくん、これどうやって買うの?」
「食券、買ったことない?」
「うん、ない。お金入れて頼みたいメニュー押せばいい?」
「そうそう。そしたら食券っていう紙が出てくるから。」
僕の言った通りに食券を購入した沙月が、出てきた食券を感動したように取り出す。
こんなことにまで感動するなんて、見てるこっちも楽しくなる。
それを横目に『ど定番!』と書かれているきつねうどんのボタンを押して、僕も自分の食券を購入した。