「じゃあ入ろう。」と声をかけて中に入ると、「いらっしゃい!」という掛け声がかかる。
店内は程よく人がいて、結構繁盛しているみたい。
忙しないながらも人が良さそうな女の人が「席を確保してから、食券を頼んでくださいね〜。」と説明してくれる。
それに軽く頷いて、席を確認するとカウンターに2つ空いているのが見えた。
「沙月、カウンターで大丈夫?」
「うん、全然平気〜っ。」
沙月の了承を得てから言われた通り、確保に向かう。
席のちょうど上のあたりにお品書きのようなものが掲げられていて食欲をそそった。
平凡だけど、久しぶりにきつねうどん食べたいなぁ。
ここまで来て定番のメニューを頼むって…、本当ぶれない。
「…私はねー、月見うどんにする!」
「月見うどん好きなの?」
「え、食べたことないからわかんない。」
「え、それなのに頼むの?」
「ふふっ、だって名前が好きなのっ!」