そんな沙月の台詞に、それもそっかと笑う。
9月25日。日曜日の昼下がり。空は青空。
まるで夢みたいな現実。それがすごくすごく心地いい。
君が目の前にいて、掴まれている僕の手にしっかりと感覚がある。
沙月が目の前で生きている、それだけが僕を笑顔にさせた。
「あっ!ねえ、すずくん私ここがいい!」
「…ここ?」
そんな風にぼんやりしていると、彼女がいきなり立ち止まって指を指す。
それに沿って視線を移すと、日本らしい和の外観が目に入った。
ここって…、うどん屋さん?
僕は全然構わないけど、本当に沙月はここでいいのかな。
女子高生ってパンケーキとかお腹にたまりにくいものを食べているイメージだったんだけど、やっぱりそれって偏見?
「うどんでいいの?」
「うん!すずくんさえ良ければ!」
「僕は好きだけど、沙月のイメージじゃなかったからちょっと意外だっただけ。」
「え、どんなイメージ?ふふっ、私結構和風なの好きだよ?」
…沙月なら和でも洋でもどっちも似合いそうだけど、確かに着物も着こなしそう。
綺麗に笑った彼女に見惚れそうになって、ハッと我にかえる。