「んーっ、着いたっ!」
「ふはっ、…と言ってもまだまだ通過点だけどね。」
「んふふ、いいの!ここでも観光するでしょ?私にとっては目的地のひとつ!」
大きく伸びをする彼女に言うと、満面の笑みを返された。
僕達の県は主要な公共交通機関があんまり発達していないから、近隣の大都市へ一回出てきてから夜景が見えるスキー場へ向かうことになっている。
3時間くらい電車に揺られて今やっと大都市へ着いたところだけど、彼女はすごく元気だ。
まあ確かにここでお昼を食べて少し観光もするんだから、目的地って言ってもいいかな。
「えへへ、すずくん何食べる!?本当に私が決めていいの?」
「いいよ、僕あんまり好き嫌いないから。」
好き嫌いが少ないって、平凡な僕の数少ない誇りだし。
僕の言葉に、余計にはしゃぐ彼女は「じゃあひと通りお店見てみる!」と意気込んだ。
大喜びの彼女に手を引かれて、駅からお店を探すために大通りへと歩き出す。
「わー!いっぱいあるね!すずくん!私今ならなんでも食べれそう!」
「やや遅めのお昼だから、お腹すいたよね。」
「ふふ、そのぶん食べられた時に幸せってことで!」