今夜、君に月をあげる。








…ギィッと古びた音を鳴らして屋上のドアが開く。




いつもは閉まっているはずのドアを開けたのは彼女が持っていたマスターキー。




どうやら教室のドアの鍵もそれで開けたみたいだった。




「…あー、やっぱりこの学校の屋上好きだな。空が近い。っていうか夜景綺麗。」




伸びをした沙月が呟いた言葉に同感する。




普段屋上になんて入れないけれど、こんな夜景反則だ。




「…さて、と。どこから質問に答えようか。」




「…全部、答えてくれるの?」




「え、言いたくないことは言わないよー、スリーサイズとかやめてね?」




「……」




「黙るのやめてよ、恥ずかしいじゃん!」





ケタケタ笑う彼女に、黙り込む。




でも、実際にどこから質問すればいいのか分からないのも事実だ。




だって沙月に対してはさっきから疑問しか沸いてないと言っても過言じゃない。




「でも、すずくんなら出来る限りは答えてあげる。」



「じゃあ、…」



「…ん?なに?」




「沙月はなんで学校に来ないの?」






我ながら直球すぎる、と思った。



考えて出た質問がこれって…、もっとオブラートに包めば良かったのに。




…それに別に1番聞きたいことじゃなかった。




隣に立っている沙月が目を見開いたのがわかる。




「あははっ、まさかそれが最初に来ると思わなかったなー。すずくんってもしかして不器用?」



「器用に見える?」




「見えない!」






笑いながら言った彼女に地味にダメージを食らう。




松坂といい沙月といい、無邪気に人の心を傷つけるのやめてほしい。