「ねえ、沙月。」



「ん、なに、すずくん。」




そのまましばらく2人で夜空を眺めていたけれど、ふと思いついたことがあって声をかける。



僕達の目に映っているのは、数えられるくらいごく僅かにある小さな星だけ。



月がのぼるのはもっと遅い時間だから、その粒達しか夜空に見えなかった。




「…どこか、出かける?」




そう声に出した時に思い浮かべていたのは、前にテレビで見た溢れそうなほどの星空。



今の僕達の見ている夜空と比べると、すごく綺麗だなぁ…。



だから、沙月に、見せたかった。



月は出ていないかもしれないけれど、星達が光る夜空を。




「…出かけて、くれるの?だって、前も、その前も一緒に出かけてくれたのに…。」



「え、だってそれは僕のリクエストだったじゃん。…っていっても、今回のも僕のリクエストだけど。」



「そんなことないよっ、私すずくんにあの日たっっくさん幸せもらったし、今回だってすっごく嬉しいから!」