今夜、君に月をあげる。







僕と沙月は相変わらず他愛ない話ばかりで。




今までと何も変わらずに、2人で肩を寄せて話す。





「ねえ、すずくん満月から下弦の月までの月に他にも名前があるの知ってる?」



「んー…、聞いたことはあるって程度かな。」



「ふふ、十六夜とかもあるけど、その中だったら私は、立待月・居待月・寝待月が好きっ!」



「どうして、その3つ?」




沙月なら月だとなんでも好きそうだけど、満月から下弦の月までの間の中で、なんでその3つなんだろう。



確か、立待月とかって半月になりかけている月だよね。




「立待月は、月の出が満月から遅いから立って待つってことが由来なんだって。居待月は月の出がもっと遅いから、座って待つ。寝待ち月はもっともっと遅いから、寝て待つの。」



「ほー…、そんな意味があるんだ。」



「ね、面白いでしょ!ふふっ、昔の人はそんなに待つくらい月のことを大切にしてたんだなって思うとなんか嬉しい。」




ウキウキしながら教えてくれた彼女に感嘆の呟きを漏らすと、余計に目が輝く。



幸せそうに微笑むから、僕までつられてしまった。



確かに、今の時代そこまで月を待つ人なんてなかなかいないかも。



僕も月のことを気にかけるなんて、沙月と出会ってからが初めてだった。