「まあ、なんでもいいけどなー。お前が楽しそうなら。」



「…松坂ってなんだかんだ優しいよね。」



「え?いつもだろ?」



「…。」



「肯定の無言だと受け取るわ。」



「返す言葉が見当たらなくて黙ってたんだよ。」





僕が口を尖らせれば、「照れなくていいっつうの。」と背中をばしんと叩かれた。




いや、待って。相変わらずの力の強さ。



…背中がすごいジンジンしてる。





「いつも思うけど、叩くならもう少し小さな力でお願いしたい。」



「愛情の証だと思え。」



「返却希望。」




松坂は僕の言葉を気にしないように、ダハハと笑う。



その姿に僕も眉を動かして、思わず口元を緩めてしまった。



本当、松坂って僕を笑わせるのがうまいと思う。



松坂が笑えば、なんだか僕にまで笑いが移るし。




そんなことを思いながら、そのままオムライスをスプーンに乗せて、口へと運んだ。




もぐもぐと口を動かして、見慣れた食堂の時計へ視線をうつす。



あんなことがあったって、時間はなにも変わらずに平凡に進んでいる。




…何もかもが、いつも通り。




そう、僕の日常は未だに、驚くほどいつも通りの平凡だ。