今夜、君に月をあげる。






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ギィという重い音が、1日ぶりなのに久しぶりのように聞こえる。




とっくに暗くなった屋上に出て、あたりを見回す。




いるなんて保証はない。




でも、ここ以外彼女に会えそうな場所が思いつかなかった。




「…沙月?」




案の定というべきか、いつもいるはずの彼女は見当たらなくて。




小さく名前を呼んだけれど、反応はなかった。




…やっぱり、いないのかな。




今日は来てないのかもと心細くなった瞬間、うずくまっているようにも見える人物を見つける。




「…沙月!」




すぐに隣に駆け寄ると、沙月が瞳を揺らして僕を見る。




綺麗な瞳が僕を吸い込みそうになった。




「すず、くん…?」




小さく呟いた彼女に頷けば、まるで泣きそうな表情をする。




うずくまっているからか、沙月はすごくすごく小さく見えて。




…このまま、消えてしまいそうだ。