今夜、君に月をあげる。







「…その友達の病気って…?」



「ガンだったよ。私達と出会った時には、もう既に病院にいた。」



「私、達…?」



「ああ、…色々あって、私の幼馴染と友達で会いに行ったからね。」




目を伏せながら、再び手を動かす。



パチンと紙を留める音が虚しく響いた。



沙月は心臓の病気だって言っていたから、少し違うけれどなんだか共通点を感じる。




「…先生は、その人のこと大好きだったんですか?」



「大好きだよ。今も昔も。」




僕の問いにためらいもなく答えた先生に、目を見開く。



…僕は、そんな堂々と何年後も言えるのかな。



僕と先生を重ねてみて、少しだけ悲しくなる。




「私達は、その子が『普通に生きたい』って言ったから、最後までずっと一緒にいた。最後まで泣きながらでも喋って。…彼女が生きるのを最後まで諦めないでいてくれたから。」



「先生は、…その、悲しみとかいつ吹っ切れました?」




「……そう言われると、今でも吹っ切れてないかもね。たまにどうしようもなく寂しくなることもあるし、泣くときだってある。彼女が今生きていたらどんな大人になっているのかなとも思う。」



「それって、苦しく…ないですか?」



「苦しい、時もあるよ。でも、私はそれが彼女と向き合う証だと思うから。でも、ずっとウジウジはしてられないけどね。…そんなことしてたら彼女に怒られちゃう。」




ふふっと笑った先生は、沈んでいく夕日に後ろから照らされてすごく綺麗だった。



元々の茶色い髪の毛が、余計に透けて赤茶に近くなる。