今夜、君に月をあげる。






鳴沢先生の声は、静かだった。



どことなく、悲しみも混じっているように聞こえて。



…どうしてだろう。




「普通に過ごす、って…、どうやって?」



「どうやってって、…本当に普段通り。普通に喋って、笑って。…ただそばにいるの。それしかできないから。」




…僕は、それが沙月にできるのかな。



普段通りって、意識すると1番難しい気もする。




「…懐かしいな。」



悶々と考えていると、鳴沢先生の独り言のようなセリフが聞こえた。



無意識に視線をあげると、少し潤ませた目をした先生がいる。



懐かしい、って何が…?



僕の疑問が伝わるのか、眉を下げて笑う。




「私が高校生の時、大切な大好きな友達が、病気で亡くなったの。」





先生の言葉に絶句するのと同時に納得をした。




ああ、だから。さっきからそんな寂しそうな表情をするのか。