今夜、君に月をあげる。







あ…、そっか。



もし沙月の言っていることが本当ならば、12月の研修旅行には沙月は参加出来ない。




僕らが予定して準備している未来に、彼女はいないのかもしれない。




考えていることが顔に出たのか、目は資料に向けたまま鳴沢先生が口を開く。




「…で、鈴木くんは何に悩んでるの?」



「…何にって、どういう…。」



「昨日も今日も集中しきれてないって感じなのに、『なんでもない』は通用しないからね。」




真っ直ぐとした先生の声は、まるで僕のことを全て見透かしているみたいだった。



…松坂だけじゃなく、先生にも気づかれるなんて。



それだけ生徒のことを見ていてくれてるってことか。




だから鳴沢先生は生徒からの人気が高いんだろう。




「…先生はどこまでの悩みだったら聞いてくれます?」



「…うーん、できる限り受け止めたいとは思うけど。話したいって思うところまででいいよ。」