今夜、君に月をあげる。








─────────────……





「失礼します。」



「お、ちゃんと来てくれるんだ。」



「…鳴沢先生が雑用手伝ってって言ったんですよね?」



「そうだけど、バックれる子とかもいるから。」




事前に指定された資料準備室に入ると、大量の紙と鳴沢先生がいた。



…なんの紙だろう、これ。



不思議に思って覗き込むと、『研修旅行』と書かれた表紙が目に入る。




ああ、…そういえば12月には僕らの研修旅行だ。




「手伝って欲しいのは、この紙をホチキスで止める作業。所謂、しおりを作ってほしいの。」



「わかりました。」




美人に微笑んだ鳴沢先生に頷いて、向かい合う形に椅子に腰掛ける。




ページ数順に並べて、用意されているホチキスで紙を貼り合わせていく。




僕、案外こういう地味な作業好きなんだよな。




たくさんの資料に囲まれた長机を挟んで座っているこの空間は、なんだか落ち着く。




窓から差し込んでいる夕日さえも綺麗だった。




「研修旅行、楽しみ?」


「そう、ですね…。」




そんなことをぼんやり思っていると、鳴沢先生が問いかけてきた。



研修旅行なんてすっかり存在を忘れていたから、微妙な反応しかできない。