「ったく。メグちゃんの授業をぼんやりするなんて、お前は大罪だっつうの。」
「今日、放課後に償うらしいから許して。」
「それ罰じゃねえから!ご褒美だからな!!」
さっき僕が予想していたセリフそのもので、笑ってしまう。
やっぱり、松坂は松坂だなあ。
僕のその様子を見た松坂は、安心したような顔を見せた。
「そうだよ、その顔。何があったかは知らねえけど、お前は笑ってた方がいいよ。」
「…松坂、なんだか今日かっこいいね。」
「今日?いつもの間違いだろ。」
松坂の返しに無言でいると、髪の毛をグシャグシャにされる。
ボサボサになった髪を直さずに松坂を見つめると、舌打ちされた。
…え、グシャグシャにされたのは僕なのに、舌打ちってどういうこと??
「髪の毛ボサボサなくせに、鈴木はかっこいいってどういうことだ。」
「気のせいだよ、気のせい。」
怒る松坂にまたヘラっと笑うと、肩を組まれてガッツリと抱き込まれた。
痛いと言いながらも、僕の口角は上がりっ放しだ。
…松坂って、やっぱりすごくいい奴なのかも。