今夜、君に月をあげる。







「ねーえー、お姉ちゃん弟がモテないの心配なのーっ。」



「余計な心配お疲れ様。」



「千里が冷たい!!」




嘆く姉さんを見て、僕は少しだけ笑ってしまう。



それを見て、姉さんの目が安堵の色を見せた。



…もしかして、僕が元気ないから関係のないこと話そうとしてくれてるのかな。




「千里ってば小学生の頃から女っ気なくて、私はどれくらい心配したことか!」



「…女子と遊んでなかっただけでしょ、別にそれは普通じゃないの?」



「いやいや、私、千里が女子と一緒にいるの幼稚園以来見たことないからね!?しかも、その子も公園で遊んでただけで、2日くらいでいなくなっちゃたし。」




姉さんの言葉に記憶を探るけれど、幼稚園の時なんて全然覚えていない。



…そう考えると、確かに僕は女子とあんまり遊んでなかったのかも。



「今考えると、私が昔見た千里と遊んでいる女の子は、あの子だけだったわ…。もっと遊びなさいよ、全くそんなんだからモテないのよ。」



「姉さんは僕の心をえぐりたいの?」




「ん?違うよ、姉としての心配だよっ。」




ニコッと笑った姉さんを疑いの目で見続けると、「ごめんなさい。」と謝られた。



…わかればいいんだけどね。



なんて、本当は気を紛らわせてくれること、感謝してたりする。