今夜、君に月をあげる。








──────────────……





「ただいま。」



「おかえりー。お母さん達今日いないらしいから、テキトーに食べといてだって。」



「今日、ちょっと食欲なくて。…姉さん食べていいよ。」



「あれ、千里ってば私にだけはご飯譲らないのに。珍し…って、どうしたのその顔!?」





重い足取りで家へと帰って来た僕に、振り返った姉さんが驚いた声を出す。




…そんなに驚かれるくらいひどい顔をしているのかな。




そりゃあ、スッキリした顔をしているはずがないんだけれど。




さっきまで沙月と会っていて、気まずいままで解散してしまったし。




姉さんが心配そうな顔をして、部屋へと進む僕について来た。





「どうしたの、千里。彼女にフラれでもした?」



「…だから、彼女なんていないってば…。」



「ええ…、江ノ島に行った女の子はー?」




僕がベットに腰掛けても、入口の扉に寄りかかる姉さんにため息をつく。




何回言ったら姉さんは、沙月との関係をわかってくれるのか…。




そこまで考えて、はっとする。




僕らの不思議な関係は、伝わらなくても仕方ないのかも。