雨の降る音がどこか遠くに聞こえる。
“私、今まですごい後悔ばっかりなの。”
いつかの沙月の声がする。
「中学生くらいだったかな。希望が絶望に変わった。夜に寝付けなくてトイレに行った時、リビングで両親が、泣いていた。…沙月は20歳になれないの?って泣いてたの。」
…凛とした沙月の声は、いつもよりも色がなくて寂しそうだった。
語尾が震えているその声に、僕はまた拳を握る。
「…そのまま、私は余命に知らないフリを続けた。両親も医者も決して私には言わなかった。聞き間違いにして、なかったことにしようとした。…でも、無理だった。」
後ろ向きでもわかるくらい、彼女の肩が揺れていた。
涙を拭いている仕草さえも見えた。
「私は、…発作が起きる度に、早く死ぬのにどうしてこんな生活をしなきゃならないんだろうって、ずっと考えちゃって…っ、元気な普通の生活がっ、…っ、羨ましくて憧れで仕方がなかったっ…っ!」
彼女の大きな声が、強い雨の音を打ち破った。
だけど、そんなことも気にしないまま、彼女は話を続ける。


