今夜、君に月をあげる。








「ごめん、ごめんね、いきなりこんなこと言っても混乱する、よね。」




さっきから謝ってばかりの沙月に、混乱した頭では気遣える言葉すら出てこない。




どうして、なんで?



そんな問いしか浮かばなくて。




「ごめんね…っ、私はあなたに嘘をついていた…。」





沙月が一筋流した涙にも、反応ができなかった。




そんな僕に、僕自身が嫌気をさす。




カラカラの喉から、声を出す。





「…沙月は、死なないんじゃないの?」



「…死なないよ。でもね、10月には、…死ぬの。」



「でも、こんなに元気なのに…。」





確かに彼女は病弱に見えるくらい、白くて細くて、儚いけれど。




でも、いつだって、元気でパワフルだった。




そう質問した僕に、沙月は寂しそうに、だけどすごく綺麗に微笑む。




「これはね、私の夢の中の悪魔に、してもらったの。」