今夜、君に月をあげる。






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「見て見て!またもらえたね!」




彼女が嬉しそうに貰った切符を、駅の改札から出たところの照明にかざした。




「ふは、よかったね。」



「うん!すずくんも貰ってくれて嬉しいこと限りないのだよ〜。」




もうすっかり元気になった沙月が、邪魔にならない場所で切符を丁寧に財布にしまう。




それを見届けてから顔をあげた時、こちらをじっと見ている女性に気がついた。




…誰だろう。心なしか、沙月の面影がある気がする。




そんな風に思っていることが伝わったのか、ずんずんとこっちに向かってくる。




…え、何?沙月の知り合い?




混乱した頭で沙月に教えようと思って振り向くと、彼女はそんなこと全く気がついていないようだった。




「沙月っ…」
「沙月ちゃん?」




僕が沙月の名前を呼んだのとその女性の声が、全く同じに重なる。




こっちを見た沙月が目を見開いた。