今夜、君に月をあげる。







「…沙月、」



手をほっぺたに当てていると、すずくんに呼びかけられて顔を上げる。




だけど、その次には「後ろを向いて」と言われてしまった。




…なんで、後ろ?




不思議に思いながらすずくんに背中を向ける。




「すずくんー、どうして後ろ…」




私の疑問を遮るように、目の前をすずくんの両手が通った。




びっくりして途中で言葉を止めると、首元にほんのわずかな重みを感じる。




髪の毛を梳かすようにゆっくり動かされると、首にひんやりとした感触も伝わってきた。





……な、なに?混乱しすぎて全然わかんない…。




「はい、もういいよ。」




すずくんの声で、いつの間にか硬直していた体を動かす。



視線を違和感のあった首へ送ると、小さな輝きが目に入った。