今夜、君に月をあげる。







「愛の…言葉…?」




ほら、やっぱり君は戸惑ったように笑う。




少しだけ期待はしてみたものの、やっぱりそんなロマンティックなこと難しいかな。





「月が…、綺麗ですね。」




「え…?」




私が諦めかけた時、隣から聞こえたセリフに目を見開いて視線を送る。




目が合うと、耳を真っ赤にしたすずくんがびっくりしたみたいに肩を揺らした。




「…え、あ、知らなかったりする?この意味。」




「あ、ううんっ。知ってるよっ!いや、でも、まさかすずくんが言ってくれるなんて、驚いただけ。」



「沙月が愛の言葉を言えって言ったんでしょ…。」



「あははっ、確かにそうだ。でも、キザにカッコつけた言葉よりもさっきの言葉の方が、ずっとすずくんらしくて私は好きっ。」





『好き』だとかそんなチンケな言葉じゃない。




『月が綺麗』。私達の関係にはそっちの言葉の方が似合っている。




すずくんがその言葉を選んでくれたことが、嬉しくて嬉しくて緩んだ口元が戻りそうにもない。




頰まで紅潮している気がする。





だけど、それがすごく心地いい。