今夜、君に月をあげる。








「そんなこと言ってくれるの、すずくんだけだよ。」




「そうかなー…。」




納得してない様子のすずくんに、思わずニヤけてしまった。




そのまま涙を引っ込ませて、勢いよく体ごとまた振り向く。





…すずくんって、本当に不思議。




だって、たった少しのすずくんの言葉で、こんなにも救われるんだもの。





空を見たら、綺麗な、大好きな月がさっきよりもずっと輝いている。





真っ黒な澄み切った空に、真珠のように照り映えた満月が私達を照らす。





その周りに小さな星の光が散らばっていた。




ふと悪戯がしてみたくなって、隣を向く。




「…ねえ、すずくん。」



「なに?」



「こういう時はね、愛の言葉を言うものなんだよっ。」




なんて嘘。そんなの決まってるわけじゃないからただのわがまま。




だけど、なんとなく。なんとなく、今すずくんに愛の言葉を言ってほしかった。




でもきっと、すずくんは照れて困ったように笑って、何も言わないんだろうなあ。