今夜、君に月をあげる。






「満月、本当に綺麗だね。」



「お?さすがすずくん。ついに月の良さがわかった?」



「だから前も言ったけど、沙月ほどじゃないよ。」



「えっ、ここまで一緒に見て?!」




ふくれっ面を見せた私にすずくんが「ごめんごめん」と平謝りする。




まあ、でもすずくんが月を楽しんでくれているだけで嬉しい。




今の高校生は月なんて見ないだろうけど、私が好きなものを好きになってくれていると思うと心がじんわりと暖かくなった。





「…この柵の上に登ったら、月に手が届くかなー。」




「さすがに届かないと思うけどね。」



「えっ、すずくん現実的!夢見て、夢!!」





そう言うと、静かにすずくんが口角を上げる。




つられて私も同じ顔をしている気がした。