今夜、君に月をあげる。







伏せていた目をそっと閉じると、なんだか私1人だけこの世界に取り残されているようだ。




真っ暗で、静かで、ただ1人だけの世界。




「…沙月?」




思わず心細くなった時、柔らかくて凜としたすずくんの声が聞こえる。




ゆっくり目を開ければ、左隣にすずくんが立っていた。




それを見ただけで、安心して自然と口元が緩む。




……やっぱりさっきのは訂正。私は1人の世界に取り残されてなんかない。





だって、すずくんがいてくれるもの。




月みたいに優しく綺麗に、私の真っ黒な世界を照らしてくれる。




私は何度も月になりたいって願ってるけど、すずくんはいとも簡単に私の中のお月様になっちゃうんだもん。




少しずるい。





「…なに?僕の顔になんかついてる?」



「んーん。なんも。ただ、すずくんだなあって、見てただけ。」



「ふはっ、なにそれ。」



小さく笑った君に、私も肩をすくめて笑う。



それだけで、嬉しくてどうしようもなく幸せだった。