「…うんっ!これこれ!これが勿忘草の押し花!」
「へえ、…これ勿忘草って言うんだ。」
「えっ、すずくん花の名前知らないのに持ってたの?」
「んー、僕の近所の公園にたくさんあった花なんだよね。」
驚いた様に質問した沙月に、そう答えると小さく「そっか。」と言われる。
そうだ、その公園の花を誰かが押し花にしてくれたんだった。
…あれ、その誰かって誰だったっけ。
あまりにも小さい頃の記憶すぎてぼんやりと霧がかかって上手く思い出せない。
あ、姉さんがそういう押し花とか好きだったから、そのまま僕にくれたんだっけ?
悶々と考えていると、沙月に「いつからそれ持ってるの?」と聞かれた。
「ちょっと今思い出そうとしたんだけど、忘れたみたい。」
「ふうん、でも今まで大切に持ってたんだねっ。」
そう沙月が楽しそうに笑うから、まあ今はどっちでもいいか、と緊張が抜ける。
少し気になるけど、思い出せないなら仕方ない、か。


