今夜、君に月をあげる。





「ねえすずくん、見に行ってきてもいい!?」


「いいよ、僕も行く。」


「ふふっ、ありがとうすずくん。」



そう言って柔らかく笑うと、ベンチを降りて花壇へと向かう。



僕もそこに続けば、花壇の目の前へ辿り着いた。



看板をよく見ると、『勿忘草』という文字が書かれている。




「…勿忘草ってどんな花だっけ?」



「えっ、すずくん知らないの?」



「うーん、名前は聞いたことあるけど、どんな花かまでは知らない。」



「えっとね、小さくて青とか白いお花!春に咲くんだけど、すごく可愛いんだよ〜っ!」




はしゃぐ沙月に、はて、と思案する。



そんな感じの花、確か僕よく見てるな…?



指に手を当てて考えると、ふっと思い出した。



「もしかして、この花?」



そう言って財布に入っていた小さな栞を見せる。



それを見た瞬間、沙月が目を見開いた。