「すずくんはね、私のこと過大評価しすぎなの!」
前を向いた彼女が、自分の両手を脚の下に挟んで少し前傾姿勢になる。
その表情は、拗ねている様にも見えた。
過大評価しすぎって……、逆に沙月は自分を過小評価しすぎだと思う。
そうじゃなかったら、今日ここに来るまでに彼女が浴びてきた視線をどう説明するっていうんだ。
「だって沙月は現に人の目を引きつけてるでしょ。」
「そうかな?それに関してはすずくんがかっこいいからだと思うけど。」
「なにこのバカップルみたいな会話。」
思わず突っ込んでしまった僕に彼女が小さく吹き出す。
そのまま肩を揺らして笑った。
「あははっ、たしかに〜っ。でも私はそう見られてもいいけどね?」
「だからね、そういうのは付き合ってる男女が…」
「あっ、見て見てすずくんっ!あそこの花壇、種まき中ってなに育ててるのかな?!」
僕の声を遮った沙月が指差す方向を振り向くと、確かに花壇に『種まき』という看板が立てられていた。
本当沙月ってば、好奇心旺盛というかなんというか……。
自分に素直なんだなって思うと少しクスッとする。


