「駅からそのコスモス畑までは遠いの?」
「んー、15分くらいだから、まあ少し遠いかもね。」
「えへへっ、じゃあその分すずくんとたくさん2人で歩いていられるね!」
「………。」
「あら?無視?」
綺麗に笑った彼女が反応のない僕の方を向くから、そっと顔を逸らす。
それでも覗いてくるから、手で顔を覆って抵抗してみる。
…けど、それも無駄かもしれない。
「…えっ、すずくん耳真っ赤〜!あははっ、ほんっと素直だよね、すずくん。」
「…ほんとやめて。」
「やめてって言われても、率直に思ったことだから仕方なくない?」
「それがダメなんだって。」
ボソボソと呟き返す僕に、明らかにキョトンとした沙月を横目にいれて少し歩くスピードを早める。
それを彼女がニヤッとして追いかけてきた。
「ふふっ、どうしてダメなの?すずくん。」
「……心臓に悪いから?」
「………それ、私の心臓にもくるものがあったよ?心臓に悪いのはすずくんの方だよ?」
明らかにいたずらっ子の笑みを浮かべた沙月の説明に答えれば、真顔でそう言われる。
…沙月が僕の心臓に与えている影響とは別物だと思うけど。