駅構内を出ると、爽やかな青空が広がっていた。
それを確認して沙月が大きく伸びをする。
「ん〜…!今日が晴れてほんっとうに良かった!満月が見れなかったら後悔なんてものじゃすまないもん。」
「ふは、だから大袈裟なんだってば。」
「あ、すずくんまたそうやって笑うんだ?私にとっては一大事だというのに!」
むぅ〜、と不満顔した彼女に、ハハッと今度は声に出して笑う。
思ったことが素直に顔に出るなんて本当に無邪気だな。
そう思っているのがバレたのか、「またニヤニヤしてる!」と責められた。
「ニヤニヤじゃないよ」
「え、それをニヤニヤって言わないっていうの?誤魔化そうとしても無駄だからね?」
沙月が顔を覗き込んでくるけど、それを知らないフリして歩き続ける。
気付かれないように隣を見れば、文句を言っている割に沙月の口角が上がっているのが目に入った。
それだけで、なんだか安心して嬉しくなる。