「コスモス畑、」
「え?」
「…沙月と、コスモス畑に行けたらなって。」
喜びそうな場所を探していた時に、一面に咲くピンクの花を見つけた。
小さいけれど可憐に咲くその花に、どこか儚さを感じて。
…僕のすぐそばにいる彼女に重なったんだ。
「…嬉しい、私、お花畑なんて行ったことない!行こ!行こうよ、すずくん!!」
少し緊張しながら伝えると、沙月はパアッと明るくなってそう言ってくれた。
その姿に嘘は見られなくて、必死で探して良かった、と思う。
「すずくんも本当にやれば出来る子だよねっ!」
「…え、ちょっと待って今褒めたの?」
「褒めてるよ〜。」
「なんか…昼の時といい、信用できないんだけど。」
「えっ、ひどい!私はすずくんのこと信用しきってるのに!」
言葉とは裏腹にケラケラしている彼女に、やれやれと肩をすくめながら口角を上げる。
…明日は、満月。
平凡な1日がただひたすらに色づく予感。