「……月になれたら、きっと誰も私を忘れない。周りが暗闇しかなくても、あんなに綺麗に光り輝く存在になりたいの。」
ボソリと言う君の瞳に何が映っているんだろう。
そんなに綺麗な君が羨ましく思うだなんて、君にはどれほど月が綺麗に見えているのだろう。
…僕は、君と同じ景色が見てみたい。
「…僕は沙月のこと、忘れない。ていうか忘れられるわけないでしょ。」
君が見ている光景に目を向けて、そう言うと彼女がこっちを見たのがわかる。
……確かに、月は綺麗だ。
でも、僕の隣にいる君の方が僕にとっては綺麗なんだ。
「前も言ったけど、沙月は綺麗だよ。」
彼女の目を見て言えば、口を開けて驚きを示される。
でも、すぐに花が咲くような笑みを浮かべた。