今夜、君に月をあげる。







「すずくんと松坂くんは仲良いけど、中学は一緒だったの?」



「いや、全然違う中学だったぜ?」



「むしろ松坂とは住んでる市も違うよね。」





廊下を歩いていると、前にいた沙月がふわっと髪をなびかせて振り返る。




その質問に僕らが答えると、ほう、と思案顔を見せた。




「じゃあ、高校入ってから仲良くなったんだね!」



「まあ、そういうことになるかな。」



「ふうん、確かにすずくんって、初めて会ったって感じさせない不思議な空気持ってるもんね〜。そりゃあ、すぐに仲良くなれるって。」




へへへ、と笑う彼女が「ね?」と雪花さんに同意を求める。




…いやいや、初めて会ったって感じさせない空気ってまず何。



それっていいの?悪いの?




「ふふふ、大丈夫、すずくん。褒めてる。」



「ねえ、松坂、今僕褒められてた?」



「…ま、受け取り方は人によってそれぞれだからさ。」



「若干フォローになってない気がするのは気のせい?」





僕がじっと見つめると、松坂が怯えたように目をそらした。




それを見て、沙月と雪花さんが愉快そうに笑う。