今夜、君に月をあげる。






────────────…




『一昨日きた月光の姫がまた学校に来てる。』




そんな情報は瞬く間に広がったらしくて、僕達がいる食堂は沙月見たさに大混雑してることが明白だった。



昨日はやはり連続で行くことをお母さんが心配したらしく、昼の学校には来ずにいつも通り夜の屋上で話をした。



だからか、金曜日の今日に、一昨日見れなかった人々が押しかけて来ているらしい。




「はー…、やっぱり月光の姫は大人気だなぁ。」



「沙月ちゃん人気者だねっ。」




松坂と雪花さんが感心するように言ったけれど、沙月は戸惑ったように肩をすくめていた。




食堂で昼食が食べたいという沙月のリクエストに僕らが答えて、4人でテーブルに座っているけれど、僕の右隣にすごく視線が集まっているのを感じる。




こんなに注目を浴びていたら、食べにくそうだな…。




「…多分不登校だったからどんな人だろうって私のこと気にしてるだけだよ。」



「ははっ、ちげえよ。月光の姫が超美人だからみんな見てえんだよ。」



「…うーん、そうだとしたらみんな、物好きだね。」




沙月がポツリと言った言葉に、ずっこけそうになる。



いや、物好きとかじゃなくて、100人中100人は沙月を美人だというと思うのに。




…沙月ってまさか自分の容姿を自覚してないの?




「ふはっ!物好きって…!!」



「ふふっ、私沙月ちゃんのそういうところ好きだなぁ。」




沙月の発言に松坂と雪花さんが笑う。



最初はキョトンとしていたけれど、「え、なんで笑うのっ…?」と沙月も自然と笑っていた。