今夜、君に月をあげる。








それまでに沙月が喜びそうな所を探さなくちゃ。




そう思って歩いていると、すぐに駅が見えてきた。




「…すずくんがいたからね、学校に行けた。」



「え…?」



「すずくんが一緒にいてくれたから、今日の学校も楽しかったんだよ。」





美人な君が振り向いて、僕にとびきりに無邪気に笑ってみせた。



いきなりの不意打ちで面食らう。




……本当に、沙月はずるい。




彼女がヘヘッと笑って、ターミナルに足を踏み入れるとすぐさまタクシーを呼び止めた。




「…僕も、沙月が学校に来てくれて嬉しかったよ。」




ずっと思っていたけど、言えなかった言葉をタクシーに乗り込もうとした沙月に言うと、また目をパチクリとさせて僕を見る。




「………ありがとう、すずくんっ。」




そしてまた、惚れ惚れするくらい綺麗な笑みを浮かべて、彼女がドアを閉めた。