今夜、君に月をあげる。







後ろでぎゃあぎゃあ言っている松坂を無視していると、始業の予鈴が鳴ってガタガタと生徒が席に着き出した。




いつもは授業が始まるからかこの時間は気だるげな空気しかないけれど、今日は違って感じる。




みんながいつもよりもソワソワしていて、明らかにこっちに視線が注目していた。




そんな原因なんて、沙月以外浮かばないけれど。




「…沙月、とりあえず席着こうか。」



「うん、そうだね!じゃあ、実夏ちゃん、松坂くん、またね。」




僕の言葉で2人に小さく手を振った沙月に、松坂がハートアタックされたらしく、よろついていた。




やっぱりどこに行っても沙月は目立つなぁ…。





なかなか現れないクラスメイトがクラスに来たからっていうのもあるだろうけど、




こんなにみんなが釘付けになるほど美貌を持ってるからって方が大きいと思う。





僕がじっと沙月を無意識に見つめていると、「ん?」とキョトンとした顔をされる。





「…別に、なんでもない。」





沙月がみんなに注目されて、興味を持たれまくるなんてわかっていたはずなのに、なんで少しモヤっとするかな。