「月光の姫…?ああ、すずくんが前に言ってたね。あははっ、なんか違和感。」
「そう、うん。そのまさか。沙月が月光の姫だよ。」
「…ひぇぇええ…、確かに超美人…。」
唖然としている松坂に沙月が苦笑いして肩をすくめた。
まあ沙月を見た大体の人が持つ感想だろう。
印象が衝撃的すぎて、言葉を失うくらいには。
「…私、雪花実夏!沙月ちゃんとは小中高一緒だよ!」
「あ、卒業アルバムで見たよ、実夏ちゃんね。顔あんまり変わってない、よね?」
「ふふ、よく言われる。」
微笑んだ雪花さんと沙月を見ていたら、いきなり腕を横からぐんっと引かれる。
こんな馬鹿力松坂しかいない…!
キッと睨むように松坂を見上げれば、そんなこと御構い無しに内緒話をするみたいに顔を近づけて来た。
「…ちょ、おい、鈴木は月光の姫と仲良いのか!?」
「仲良いって…、まあ友達だけど。」
「はああ!?言えよ!ていうか会わせろよ!美人すぎて息詰まるかと思ったわ!」
予想通りのめんどくささに若干顔をしかめつつ、いつの間にか肩を組まれていた態勢から逃げ出す。
やっぱり沙月に関してすごい食いついてくると思った…。