沙月と一緒に歩いていると、少し早めの時間なのに通行人や周りの学生からすごく注目が集まってるように感じる。




今ここが有名な大通りとかだったら、すぐさまスカウトマンが群がってきそうだ。




…やっぱり沙月はすごい美人だもんな。




「…ん?なんか私の顔に付いてる?」



「…いや、別に。」



ぶっきらぼうに答えた僕に小さく笑って、前を向いた。



地元では可愛いと言われている女子の夏服が、よく似合う。



…ほんと、松坂が騒いで騒いでうるさそう。




これからのことを考えて少しげんなりした僕に、赤レンガを基調とした高校が見えた。





「…大丈夫?」



「うん、入学式以来だけど、…すずくんがいてくれるなら大丈夫。」




顔を覗き込んだ僕に綺麗な笑みを見せて、一歩踏み出した彼女の後に続いた。