「姉ちゃん、何してんの」


家に帰ってもあの謎の動悸はおさまらず。


「な、何もないよ!」


しかも理玖にまでバレてる始末。


「絶対何かあっただろ…」


眉をひそめながら、吐き捨てた。


「アンタ、彼女…とかいるの?」


「は?何言ってんの」


意味もなくこんな事言ったんじゃないよ!


「外に…可愛らしい女の子がいるんだけどね、私の方向いてお辞儀してきたんだ」


窓の外にいる子、どっかで見たことあるんだよな…あの子。


その時、


    ピンポーン。


家のチャイムの音。


「理玖!藍蘭(あいら)ちゃんよ!」


お母さんのからかい口調が下の部屋から響いてきた


「くっそ…バレた」


そもそも、私が5時なんて早い時間に帰って来ることが想定外だったのだろう。


「早く行ってあげたら?」


ドドドッと階段を駆け下りていく。


(理玖、ちょっと頬赤かったよね?)


なんか、複雑な気分だ…。


下を見てみると、幸せそうに話す理玖と女の子。


(そっか、お互いに大好きなんだね)