クーデレ君と微妙な関係

「お前さぁ…ホントに出来るわけ?」


「で、出来るんじぁないかな!」


手を動かすと、冊子に当たったような感覚がした。


新ちゃんの手にも同じモノが握られている。


「は~いカット。十波、あんたダメダメだね。」


そう、何を隠そう今は演劇の練習中。


決まった直後から、まさかの練習スタートで驚いた。


「新也も、もっと恥じらいを捨てて。」


監督には七ちゃんと紅真くんがあてられている。ガッチガチに固まっている私たちを気遣っての事だ。


「だってぇ…恥ずかしいんだもん」


「可愛い子ぶってもダメ」


厳しい。いつもにまして毒舌だ…。


「新也、お前は王子様だ。頑張れ」


「なに訳わかんねぇ事言ってんだ、お前は」


あっちはあっちで大変そうだけど。


「紅真くん、このお話に王子様は出てこないよ?」


普通の女子高生が恋に落ちていくお話。


台本を読んだ時は、キュンキュンしたけど、いざ自分が演じてみるとなったら恥ずかしいものだな。