「おっはよ~新也」


「おう。」


部活の朝練は、本当に気が乗らない。


「どうしたの、いつもに増して不機嫌?」


相変わらず察しがいいな、なんて皮肉を言いたくなるほどに、今日は機嫌が悪い。


「そんな人1人殺めてきたみたいな顔してても、女子の皆さんに騒がれちゃうなんて…世の中って不公平だと思わない?」


グランドの外に向かって笑顔で手を振るだけで歓声が2割増すお前もどうかと思うがな。


「そういう紅真はどうなんだ?えらく機嫌いいじゃねぇか。」


「う~ん…昨日の合コンで、ちょっと面倒な女の子を引っかけちゃったくらいかな?」


「それはご苦労」


また合コンなんか行ったのかよ…


でも、それで毎回自分の好みの可愛い子を引っかけてくるから何も言えない。


「まぁ…せいぜい刺されないようにな。」


「ありがとう、頑張るよ。」


ヘラッと笑ってみせた顔は確かに整っている。


なるほど、今回もそれが決め手か……。