本から目を上げて、ぱちくりさせる。


「それは恋愛関係の質問?」

「おう。はやく答えろ」

「あるよ。付き合ったのは十波が初めてだったけど、随分遠回りしたからな。散々周りにもとやかく言われ続けてたし。

なんでもっと早く告っとかなかったんだろうって後悔したし、自分の不甲斐なさにそれはそれは嫌になりもしたさ」


コーヒーをスクリーンに昔の情景でも見ているんだろうか。幸せそうな顔してやがる。


「ふーん。何の参考にもならなかったけどありがと」

「だろうな。全然モノがちげーよ、俺らとお前は」


人の数だけ恋がある。色々な本で見るセリフだ。


名言ってのは、大勢の人に共感されるから名言になれるのであって、それは少なからず自分の心に届くはずだと俺は思ってる。


今回も…悔しいけどそういうこと。