ひたすらに前だけを見て歩き続けた。
余計な事を考えてしまうと、そこで膝から崩れ落ちてしまいそうで。
「ちゃっかり釘刺しまでしやがって…」
完全に八つ当たりだ。
どう考えても俺に勝機なんてなかったのに、なんで奪うチャンスがあるかなんて考えてたんだろう。
そんな自分が嫌になる。
「ただいま…」
家に帰っても、まだ新也がそこにいた。
「おかえり。何でそんな死にそうな顔してんだよ」
「ほっとけって。ちょっとくらい、やさぐれたっていいだろ…」
「まぁな。男にはそんなときもあるさ」
文庫本を片手にコーヒーを飲む姉の旦那に訊いてみる。
「なぁ、お前って自分が嫌になったことある?」



