「まぁいいけど、俺のせいにしといてよ。その方が気持ち的に楽だから」
「何それ。…でも、不思議と後悔はしてないの。何でだろうね」
大切に、慈しむような目でカップを眺め、その細い華奢な指で縁をなぞる。
「たりめーだバカ。後悔がないから今の旦那と仲良くできてんだろ?」
「分かんないけど。でも、忘れるのは…ちょっと無理かも…」
俺のことなんて早く忘れてくれ。
そんな事、今まで一回も思ったことなかったのに。
「忘れてやってよ、旦那のためにも」
口をついて出てしまった。多分、かっこつけ。
「分かった、って素直に頷けるほど君とテキトーに付き合ってたわけじゃないんでね。それは難しいハナシだよ」
えへへ、と頬を掻く。



