「ん、これ今日頼みたい分。二枚ずつホッチキスで端を止めてくれるだけでいいから」
担任から手渡された大量のプリントの束。私たち、今日帰れないかもしれない。
「まぁ適当にやっときゃいいだろ。終わんなかったら後は向こうに押し付けて帰るから」
さっとホッチキスを手に取って、教室のど真ん中の席で作業を始める新ちゃん。
「新ちゃんってさ、そんなに真面目なほうじゃなかったよね?」
「失礼な。やる時はやる」
今がそのやるときってことか。
教室には誰もいなくて。
聞こえてくるのはホッチキスのかみ合わさる音と、紙がこすれる音と、それから。
私の心臓の音。
「なんか…静かだね」
沈黙に耐え切れなくなって発した言葉も、静寂に飲み込まれていった。
気まずい…。



